2018年3月21日

聖書に手を置いて

平気で嘘をつく人の胸に

悪意が無かったら

罪は神通力を失い

対比する言語さえ見当たらない

人を捕らえている境界線のような区切りは

何の基準によるものなのだろうか

この社会そのもの

それとも個体としての痛みの記憶から生まれた

防御

きっとどちらも違うのだろうと思いながら

私はある事を決心しようとしていた

夢で焼いた讃美歌の炎が苦しそうな声になって

揺れながら消えていくのを待つように

 

譜奏196

2018年3月19日

感情の5つの階段を上ろうとすると

最初に拒否という札が掛かっているという

危うい人もいるからと受け入れて

ふと考えて左足から上っていく

私は右利きだからだ

両足の膝が立つ位置に2つ目の札が見えてくる

怒り

コレは概ね予想がついていた

また気が進まないままに膝を立てると次は取引と書かれてある

意外な感じがしたので急いで四段目に行くと

抑鬱の札

私は動物的に激しく笑った

こんな事をさもロジック風味に仕立てている人間が

ただのおバカにしか思えなかったから

 

譜奏195

2018年3月16日

眠れぬ夜を過ぎて

その理由に行き着けないまま

雨だから開ける必要もないカーテンの無地をみつめて

私はその無地に同調していく私の精神を

引き止める単語を呪文のように探す私に衰弱していた

そして溢れるように動いて

自分の変化を喜んで引っ越しした時に買った2対の

今は時の曇りが痣のようになっていたグラスを

投げ割った

主の顔も声も浮かばない黒白の名刺を

何かのモニターを覗くように

そこに写っているはずの確かに居たウェーブの

髪を揺らしていたはずの私を

探しているかのように

 

譜奏194

2018年3月14日

ふと気分がしなやかな夜

人は過ちもあった過ぎた日を振り返り思う

自分は精一杯生きてきたのだろうかと

少しばかり正しいとばかりは言えなくとも

自分なりには懸命に生きてきたはずだと

そしてそれは概ね正しくその人は賢明な人だと言える

何より明日に前向きな姿勢がその人の基本にあるからだ

私の周りにいるそういう人は振る舞いも柔らかく

自制された忍耐強さを持つ愛すべき人達だ

しかし私はその人達と話していると

いつも疎外されていく自分しか感じないで生きてきた

何故だろうと思った時期もあったが理由ははっきりしている

私は振り返ってしまえば未来という獣が

自分の後ろに立っている気がしてならなかったのだ

 

譜奏193