秋が数日でいなくなって
突然冬の風を感じた遅い朝
バス停に坐っている淋しい人を見かけました
私は失礼のないようにその人を見ないように通り過ぎて
牛乳と果物を買ってまたバス停の近くにきた時
その人がいなければいいのにと思っていました
以前同じようなことで苦い思いになったことがあるからです
でもそう思った時にはもう彼の姿が見えてきていました
ちょうどバスが着いて誰も降りなくて
バスは開けた扉をすぐに閉めながら走り出した時でした
生きていたら私の父くらいの人でした
動かないままの背中は丸く淋しいままでした
こんなに寒いのにと思いながら私は通り過ぎました
そしてしばらく歩いてまた私は振り返ってしまっていました
譜奏300