2018年11月16日

女性の心の形が悲しい器に思える時

晩課に集まる人びとの影になって

子を捨てる母親のように紛れていたいと

私は動かない時間を恨めしく思いながら

ぶつけるようにして顔を洗った

女性という性は何かを待つように造られていて

自分という意思が表面に表れるのは

その何かの後か線上のプロセスの点でのことでしかないのなら

私が今感じている不満は成立していない

ではその器は何かを選択して受け入れているのだろうか

そんなはずはないと私は鏡に向かって言ってみる

開けられた蛇口から生き物のような水線が飛び出していた

私は少し恐くなってタオルを被せて水を止めた

鏡に映る自分が静止していては形さえない器のように見えていた

 

譜奏299