2018年11月14日

哀しみの身代わりを探していたら

捧げるものが失くなっていることを知り

許し合える人を嫉む自分に行き着く

私を高揚させるだけの罠と知りながら

指を組んで形を整えると

輪郭だけの月はいっそう妖しく

身体が凍っていくような深い眠りに落ちて

明日の朝まで

自分の名さえ思い出せなくなる自分でいたいと

空に祈りそうな私を楽しむように

嗤うようにも

憐れんでいるようにも

微笑んでいるようにも

私をみつめ返してくるだけだった

 

譜奏298