アトレに奏でられることを必然としていた一弦は
蒼い恋と紅い夢の二弦を手に入れようと
月を見上げては急いで大人になることばかりを考えていた
美しすぎる旋律が空想の中でも身を熱くして
くり返す息さえ苦痛に感じさせていたからだ
調和
そしてその素敵過ぎるハーモニーの響き
私はただその中にいられればいいと願い
気づかないままに生きる備品を揃えるかのように
蒼と紅を追い求めることに憑かれていた
しかし何かが知らされるような不安を確かめようとした夜
その三弦は苦しむような不協和音を出して
私を驚かせ打ちのめし諭すように貴方は貴方という
幻想の一弦を奏でる重い中毒者だったのだと知らせていた
譜奏280