自分をみつけたと感じた秋の夜明け
私の胸の地で発芽して蕾を付けて開いた花弁をみつめて
私はその恵みを与えてくれた太陽光に向かって
手を大きく広げ未来へと歩いていくのだと思っていた
この部屋とも近い将来にお別れすることになると思った時
執着を感じていた木棚が気がかりになって中を空っぽにして
翌朝私は今までの時間を切るように裏の納屋へと押し込んだ
それから私は私の思うようにしか生きなかった
何かの用で帰った時も切った時間を思い出すことはなかった
永遠に咲き続けると思っていた花を見ることを恐れた夜明け
私は夢の中で暴力的に木棚の一番下の引き出しを引っ張っていた
引き出しは湿気で木が膨張して開かなくなっていた
私は夢で叫び心からでも脳からでも思い出を取り出して
そのすべてを焼き払ってしまいたいと空を睨んでいた
譜奏252