2018年6月1日

短い春の日

傷つけたいほど大事にしていたペンダントを失くした

いつか誰かの写真を入れる欲望が取り残された

それから私は首飾りをしない

大人になって思慮の果てに

欲望をみつめることを覚えたけれど

その時間から得られたものは何もなかった

人はおそらく

正しいと誤り以外の力で縛られている

人間の執着は壊れていくものなのか

それとも死んでいくものなのだろうか

人は深く愛されれば輝くけれど

強く愛されたら媚びを分泌する

そして卑しい驕りの姿になっていく

 

譜奏227