2018年5月14日

ターコイズ色の海に囲まれた森の物語には

生き生きとした動物たちと海の中の魚たちの幸せなお話が

咲き乱れる四季の花々のように描かれていて

私はいつか大人になったらその森で暮らしたいと思いながら

読んでくれる人の膝の上でその声を子守唄にするように

いつも最後まで聞くこともなく眠ってしまっていた

私がその物語の結末を読んだのは

その本のこともすっかり忘れていた引っ越しの朝のことだった

手と目に記憶の息を止められて思っていたのは

おとぎ話には必ず悪魔が登場してくるということだった

帯びたアプリコットの芯が徐々に媚びを緩めて

剥がれていくコンパッションになっていくように

もしかしたら私は知っていたのかもしれない

問い続けると死ぬ星のことを

 

譜奏219