ターコイズ色の海に囲まれた森の物語には
生き生きとした動物たちと海の中の魚たちの幸せなお話が
咲き乱れる四季の花々のように描かれていて
私はいつか大人になったらその森で暮らしたいと思いながら
読んでくれる人の膝の上でその声を子守唄にするように
いつも最後まで聞くこともなく眠ってしまっていた
私がその物語の結末を読んだのは
その本のこともすっかり忘れていた引っ越しの朝のことだった
手と目に記憶の息を止められて思っていたのは
おとぎ話には必ず悪魔が登場してくるということだった
帯びたアプリコットの芯が徐々に媚びを緩めて
剥がれていくコンパッションになっていくように
もしかしたら私は知っていたのかもしれない
問い続けると死ぬ星のことを
譜奏219