2018年5月16日

ピエロが起こしにくる朝に

消えていく声が誰かを呼ぶ音が聞こえる

渇いた砂風の中で立っていた

裸足のストリートオルガンの少年が見ていたのは

私の視界の中の夢だったのか

それとも夢の出口にいる私を案じていたのか

哀しみのような切なさのような無力な目を

私は負担に感じて逃れてきたような気がする

人が持つそれぞれの原景にはどのような起因があるのだろう

環境というプロセスはどれほどに人を囚えるのだろうか

風の声が私の名を呼んでいるような気がする

何処へ行けと言うのだろうと私は怯えて

また時を裂いて夢の入口を探そうとする

ピエロの木靴の足音に耳を塞ぐように

 

譜奏220