2018年3月28日

悲劇を作品にするアーティストの拠り所は

演出のイマジネーションを与えてくれる妄想の熱の精度にある

ただの現実にそんな力など無く

不幸を悲劇にまで高めるには雑多な悲しみなど

焼き切るほどの価値しかないということだ

透明なるイミテーション

その努力された透度だけが熱を伝える力なのだよと

夢か幻想かも理解しない私の

心のスキを突いた同行者が小声を残して消えた午後

あっという間に私の身体を覆い尽くすように

驚く間も無く白い蝶が集まってきて

同じ白の霧に包まれた花園に眠る妄想に私は置かれて

変化していた私はこの今が途切れないことを希ってしまっていた

貪欲にしか見えない白の脆い静止を楽しむように

 

譜奏199