人は老いること
人が亡くなること
この避けられない事実が私には
いつまでたっても咀嚼し切れないままだ
私はただ幼くて
命の定理を実感しない盲目の中で生きている
変えられないことを受け入れて拒む平静と諦観を
両者を見分ける知恵を私は力なく想う
思い出は切ないままに人を愛し過ぎて
なのにその愛は断片的に偏っていく
吐息の筒から漏れ零れた吹きガラスが作る淋しい形が
成り行きのように私の目を開かせて
私自身の想いに届くのなら
私は私を知る者になれるのかもしれない
譜奏198