2017年10月11日

人は何かに沿って生きていく

シンプルに常識に

或いは自分に馴染む価値観に

納得した宗教などに

またはただあるがままに自然にと

心掛けるように心で整理して

それらに沿って生きていく

いつ盲目になってもいいかのように

私が家族より大切な出来事を胸に仕舞い込んだ時

街のイルミネーションは闇を弾いて青い一定の空間を創っていた

そんなことで私は確信していた

こうして生きていることさえ私さえ

気まぐれな欠片の断面を弾いた飛沫のような

蜃気楼の薄い光なのだと

 

譜奏126

2017年10月9日

女が紅を引く時

紅は紅自身が繋げようと惑うように

いつも何かに向き合ってその線をなぞっている

二つしかない性を諦めるように

その一つの性を曖昧にでも果たすように

もしも繋げ向き合おうとするものに

鏡のように写るものが返ってくるのなら

それは見ないほうが良いと

おそらく全ての女は感づいている

そこにロジックは持ち込まない

本質が本質として外気に触れる時

女は幼くして自身を隔てることを

引く色でなぞるように

カモフラージュされてきたのだから

 

譜奏125

2017年10月6日

誰かからもらった玩具の花の首飾りを

寝ている時も首につけていたのに

ある朝中の糸が切れ

色とりどりの玉が道に散らばった

私は何にもしていないのに

ただ大切にしていただけなのに

私が初めて裏切りという感情を持った瞬間だった

言葉から作られて育つ信頼や愛を得たと感じても

それらは束の間に華やいで劣化してしまう

私は自然にそう疑う痩せた人間になっていた

兆しもなく切れたあの朝の糸のように

私の目に涙が滲んでいた

私は忘れていた

落ちていく花の玉を見ていただけの私の悲しみを

 

譜奏124

2017年10月4日

少し冷んやりとした心地よい風のような友人と笑いながら別れて

残り笑みが消えないうちに通り過ぎてきた私の目に

ゴミで吹き溜まった河の終わりが見えていた

どうしてだろうといつも思うけれど

私にはこの吹き溜まりのゴミが人にしか見えなくて

いつもとても悲しい気分になってしまう

空き缶が捨てられて道の端で錆びついてその周りに草が生えている

そんな景色もとても苦手だった

子供の頃から感じていたその感情の正体は何だろうと思った

しかしほとんど同時に

何人かいそうな私の胸の中の私の誰かがこうつぶやいてきていた

あなたはただ朽ちるのが怖いだけなの

周りはみんな朽ちていっても自分だけは咲いていたいの

たとえ徒花であってもと

 

譜奏123