人は何かに沿って生きていく
シンプルに常識に
或いは自分に馴染む価値観に
納得した宗教などに
またはただあるがままに自然にと
心掛けるように心で整理して
それらに沿って生きていく
いつ盲目になってもいいかのように
私が家族より大切な出来事を胸に仕舞い込んだ時
街のイルミネーションは闇を弾いて青い一定の空間を創っていた
そんなことで私は確信していた
こうして生きていることさえ私さえ
気まぐれな欠片の断面を弾いた飛沫のような
蜃気楼の薄い光なのだと
譜奏126
人は何かに沿って生きていく
シンプルに常識に
或いは自分に馴染む価値観に
納得した宗教などに
またはただあるがままに自然にと
心掛けるように心で整理して
それらに沿って生きていく
いつ盲目になってもいいかのように
私が家族より大切な出来事を胸に仕舞い込んだ時
街のイルミネーションは闇を弾いて青い一定の空間を創っていた
そんなことで私は確信していた
こうして生きていることさえ私さえ
気まぐれな欠片の断面を弾いた飛沫のような
蜃気楼の薄い光なのだと
譜奏126
女が紅を引く時
紅は紅自身が繋げようと惑うように
いつも何かに向き合ってその線をなぞっている
二つしかない性を諦めるように
その一つの性を曖昧にでも果たすように
もしも繋げ向き合おうとするものに
鏡のように写るものが返ってくるのなら
それは見ないほうが良いと
おそらく全ての女は感づいている
そこにロジックは持ち込まない
本質が本質として外気に触れる時
女は幼くして自身を隔てることを
引く色でなぞるように
カモフラージュされてきたのだから
譜奏125
誰かからもらった玩具の花の首飾りを
寝ている時も首につけていたのに
ある朝中の糸が切れ
色とりどりの玉が道に散らばった
私は何にもしていないのに
ただ大切にしていただけなのに
私が初めて裏切りという感情を持った瞬間だった
言葉から作られて育つ信頼や愛を得たと感じても
それらは束の間に華やいで劣化してしまう
私は自然にそう疑う痩せた人間になっていた
兆しもなく切れたあの朝の糸のように
私の目に涙が滲んでいた
私は忘れていた
落ちていく花の玉を見ていただけの私の悲しみを
譜奏124
少し冷んやりとした心地よい風のような友人と笑いながら別れて
残り笑みが消えないうちに通り過ぎてきた私の目に
ゴミで吹き溜まった河の終わりが見えていた
どうしてだろうといつも思うけれど
私にはこの吹き溜まりのゴミが人にしか見えなくて
いつもとても悲しい気分になってしまう
空き缶が捨てられて道の端で錆びついてその周りに草が生えている
そんな景色もとても苦手だった
子供の頃から感じていたその感情の正体は何だろうと思った
しかしほとんど同時に
何人かいそうな私の胸の中の私の誰かがこうつぶやいてきていた
あなたはただ朽ちるのが怖いだけなの
周りはみんな朽ちていっても自分だけは咲いていたいの
たとえ徒花であってもと
譜奏123