2017年11月27日

嘘が嫌いだと言う人は

おそらく嘘をついて傷ついたことのある正しい人

嘘をついて生きてきた人は

おそらく嘘の艶を食べて過食に気づかない滅びゆく人

正しい人も時々には艶を食べ

滅びゆく人も時には正しい人を食す

私にはそれは単なる嗜好のように思えていた

嗜好には流行り廃りが付き物なのだから

しかし私は揺れるようにふとある情景に打たれていた

私の終わりなんて怖くないと呟いた夜だった

現れた天使が何故かやさしく微笑みかけてきたことを

今は単に心証に過ぎないけれど

嗜好を分けて遊んできた一番の嘘つきは

その微笑みの主だった気がしている

 

譜奏146