どう足掻いても
時間の血清は
過去にはない
その痛みがあったのだろう
私の夢の堆積で組成された仮想の彼女は
悔いを濾過してシグナルを伝えてくるキャストとして
ある意味私に最も近い存在だった
白日の微睡みに突如として現れた彼女が
もうこの堆積の養分は石化していくだけだと私に告げて
最後の愛情のように私をみつめた時
永遠の秘密を脳のシナプスの中に閉じ込めたような
あまりに美しいガラスカットの目に怯む私に
声もなく唇を動かして神様の顔を見たと
彼女は確かにそう言って消えていった
譜奏145