2017年11月24日

どう足掻いても

時間の血清は

過去にはない

その痛みがあったのだろう

私の夢の堆積で組成された仮想の彼女は

悔いを濾過してシグナルを伝えてくるキャストとして

ある意味私に最も近い存在だった

白日の微睡みに突如として現れた彼女が

もうこの堆積の養分は石化していくだけだと私に告げて

最後の愛情のように私をみつめた時

永遠の秘密を脳のシナプスの中に閉じ込めたような

あまりに美しいガラスカットの目に怯む私に

声もなく唇を動かして神様の顔を見たと

彼女は確かにそう言って消えていった

 

譜奏145