2017年11月3日

爪が割れた

大切なものをすべて奪っていく雨音のように

血に軋みながら

悲しみはいつも寡黙で

気配だけを胸に兆しながら

冷んやりとした陰のように

雨の日を待つ

混ざり合えない堆積と知りながら

潰れていく雨粒に

容赦なく溶け込もうとするように

何かの藍のような人間の感情というものが

人にとっての異物なのかも知れないと言ってしまったから

私の悲しみの息は乱れて

音の死ぬ息とリズムを合わし出している

 

譜奏136