2017年11月6日

私が産まれた朝から私の胸に

デッサンのように刻まれていた私の嗜好が

鮮やかな痣になって浮き上がってきた夜を

抜け目の無い月光が泳ぐように盗み見していたことを

私は密かな楽しみと感じて無視を通してきた

伝え合うことなど私たちには不要だと

お互いを牽制してきたのだ

自分を唯一とする自愛者の孤独は

同じ孤独者の高揚さえ拒む

だから私の痣は一人きりの闇にだけ姿を現して

月下に構図を晒すのだ

満ち欠けの斜光に美醜を這わせながら

私と同時に朽ちる点描のその一点を

永遠に円舞するかのように

 

譜奏137