私が産まれた朝から私の胸に
デッサンのように刻まれていた私の嗜好が
鮮やかな痣になって浮き上がってきた夜を
抜け目の無い月光が泳ぐように盗み見していたことを
私は密かな楽しみと感じて無視を通してきた
伝え合うことなど私たちには不要だと
お互いを牽制してきたのだ
自分を唯一とする自愛者の孤独は
同じ孤独者の高揚さえ拒む
だから私の痣は一人きりの闇にだけ姿を現して
月下に構図を晒すのだ
満ち欠けの斜光に美醜を這わせながら
私と同時に朽ちる点描のその一点を
永遠に円舞するかのように
譜奏137