2017年8月4日

この部屋の秒針の音が

どこかの砂漠の砂を揺らして蒼い陰を創る夜は

砂粒がデジタル音のようにキュッと鳴いて

私の部屋の四隅に還って眠らない

一秒は二秒を追い

逡巡するように三秒は一秒を確かめる

無機と思えるモノほど

複数形としての存在を保つのは何故だろう

静寂は受け身に見えて私には最も騒がしく

際限なく受け入れる脅えを私に与え

夜毎悩ましいほどにその手を広げている

まるで愛する者の旅の終わりを待って

その蒼い翳りを背に

寡黙に抱きしめるかのように

 

譜奏97