2017年4月28日

雑踏を過ぎる人々を

予めの気まぐれな春の前触れを

私はカフェの一面窓を射す陽に視界を歪ませながら

朽ちていく者たちを見送るように見ていた

私自身がそこに居ない安堵を

健やかな傲慢と自覚しながら

この世は根の区別されない価値を比較することで

曖昧なIDをカモフラージュしている曲者だ

寄り添うことに意味があるのかと問うことなど

虚ろな歪みのように萎えていく

極端な判断だろうと思う

しかし私の魂の根は確かに遠い喝采を感じ

私の中の異端を愛し始めていくのを

止められないでいた

 

譜奏55