2019年2月13日

風に祈っても

置き去りにしても

愛は誰の胸にあるの

心の刃で言葉を削って

振り向いた声に

零れた涙が

雨の化石のよう

自分ひとりで生きると

息を殺して閉じた

唇が

生け贄のように

悲しみを知るの

眠る赤のように

雨の化石のように

 

譜奏337

2019年2月11日

美しく流せるなら

涙さえ虹のように

愛に彷徨い歩いて

フラスの森に

キラキラと

夜明けを拒む

摩天楼

消えていくように

落ちていくように

両指で作った月

愛さえ悲し人のよう

フラスの森の

背を抱く

摩天楼

 

譜奏336

2019年2月8日

夕陽を壊して私をみつめる

紅い絵の中の海が見える

憶えていますか

終の夢を

春の風に踊るように

抱きしめた夜を

永遠に生きて何かになり

紅に身を投げて

いつかの終わりに

砂に永眠るから

時は何故

流れるの

私を

棄てて

 

譜奏335

2019年2月6日

悲しみと踊るように

祈りを紡いで

愛だけを裏切っても

星が消えるのは

夜の血を贖えないから

月に巻きついた

黒い余白のように

息を潜めていても

希いさえ解けないの

水の翼を背に描いて

蒼を見上げる私を

絹を溶かすように

やさしく棘刺す

誘ないのキメラ

 

譜奏334