風に吹かれて
何かを待ちわびたような二人の
祈りの形
砂の薔薇の花
あした占う東の空に伝えて
翔ぶ鳥よ
揺れる涙で
サヨナラと書いて
もう戻れないとわかっているから
希いは虚しく
麻の糸では繋げないことを
束の間に
儚く宙に舞って
なくなっていくだけなのに
譜奏373
風に吹かれて
何かを待ちわびたような二人の
祈りの形
砂の薔薇の花
あした占う東の空に伝えて
翔ぶ鳥よ
揺れる涙で
サヨナラと書いて
もう戻れないとわかっているから
希いは虚しく
麻の糸では繋げないことを
束の間に
儚く宙に舞って
なくなっていくだけなのに
譜奏373
淋しげな細い雨
私の傘に
言葉のように落ちて
セピア色の悲しい映画のように
一瞬の過去になっていく
南に歩いていけば
潮騒が聴こえてくるはずと
私の中のカモメがまた
私に嘘をつく夜
錆びついた古い鍵の形が
ゆっくり冷めていく珈琲のように
曖昧な苦さで
私の胸に流れていくの
ただ灼かれてしまうほどに
譜奏372
雨降りの中赤い傘さして
一人で誰の帰りを待つの
白いリボンのぬいぐるみ
苦しみぬいた青春の日々
取り残されて雑踏の中
叫んでいたの
私には生きる何があると
海にかかる虹
瞳のまん中で飾った嘘
私知ってたの
明日を信じてもう一度
虹を駈けていけるなら
ひとり悲しい時は
砂の貝殻うつ波の手をみつめて
譜奏371
あてもなく歩いていた
風の冷たい街
にぎやかな笑顔ですれ違う
楽しげな人たち
私のポケットには
独りぽっちの指
気づかれないように
うつむいていたから
いつか大きな海を渡っていく
鳥のように空を飛べたら
どんな悲しみも消えていくよと
遠く響く逃げるような誰かの声
もしも人を信じることに疲れて泣いたら
あなただけを見ていてもいいですか
譜奏370