2017年1月2日

雑踏を

深い森の鳥たちの

飛礫のように抱えて

空に写る

墓跡のような

摩天楼

悲しみの

最後の単位が

量子なら

個別の孤独は

海にさえ

交われない異端

主体が放つその

寂しい温度ゆえに

 

譜奏5

2016年12月30日

何かに憑かれる

想いの兆し

それは私が

手を差し出したものか

それとも

突風のように

拐っていこうとする

者なのか

未来さえ知らない

過去への紡ぎが種のように

花のように

私の胸に落ちる夜

その葉柄に

その葉身に

 

譜奏4

2016年12月28日

平安に

生きることを望んでも

カオスに

身を委ねるように

女は

その唇に

紅い紅を挿す

凪の水面を

傷つけて

揺らすように

潔癖なのだろう

その貪欲さに翻弄されても

カオスの中の自分を

見つける運命に

 

譜奏3

2016年12月26日

愚かなる振る舞いの

葉脈を辿れば

その根は

全て

愛に通じる

音がなく

落ちていく

無機を知らない

砂粒のように

ただその事に

気づいても

それが何の糸口になるのか

人は

知ることもない

 

譜奏2