雑踏を
深い森の鳥たちの
飛礫のように抱えて
空に写る
墓跡のような
摩天楼
悲しみの
最後の単位が
量子なら
個別の孤独は
海にさえ
交われない異端
主体が放つその
寂しい温度ゆえに
譜奏5
雑踏を
深い森の鳥たちの
飛礫のように抱えて
空に写る
墓跡のような
摩天楼
悲しみの
最後の単位が
量子なら
個別の孤独は
海にさえ
交われない異端
主体が放つその
寂しい温度ゆえに
譜奏5
何かに憑かれる
想いの兆し
それは私が
手を差し出したものか
それとも
突風のように
拐っていこうとする
者なのか
未来さえ知らない
過去への紡ぎが種のように
花のように
私の胸に落ちる夜
その葉柄に
その葉身に
譜奏4
平安に
生きることを望んでも
カオスに
身を委ねるように
女は
その唇に
紅い紅を挿す
凪の水面を
傷つけて
揺らすように
潔癖なのだろう
その貪欲さに翻弄されても
カオスの中の自分を
見つける運命に
譜奏3
愚かなる振る舞いの
葉脈を辿れば
その根は
全て
愛に通じる
音がなく
落ちていく
無機を知らない
砂粒のように
ただその事に
気づいても
それが何の糸口になるのか
人は
知ることもない
譜奏2