微睡んで辿る眠りの夢に現われる深い青色の蝶は
受ける光の角度で危うい紫に見えたりする
この蝶は何か懸命だ
基本的に無機な存在なのに私の夢を忙しく翔け舞う姿は
背景のモノトーンに重い運命を与えているようにさえ思える
唐突に初めてこの蝶が現われた時
私は何故かうれしい気持ちになった
心のどこかで何かを待ち続けていた自分を感じていたからだと思う
しかし長い時間が過ぎてもその期待は兆しに変化せず
ただ無機のままただ存在しているだけだった今日までは
明日は判らないと感じつつ
私は今疑っている
この蝶は私の夢そのものを食べて生きている
捨てられた有機の集合体なのかもしれないと
譜奏156