季節を感じても感じなくても
時がデリカシーもなく一年を剥がしていっても
暮らしが変わっても
私には忘れ得ぬことがありそれを口にしたことはない
解ってもらえないと思っていた
それは今も続き
解ってもらいたいと思う欲望も一度として持たず
だからすべてが風化せずに時を食べているだけだった
風化の反対語は何と言うのだろう
何事もない平坦な日の普通の時間に
忘れ得ぬ記憶はかけがえのない出来事として鼓動し
初めての季節を肌に感じるように
その時私はときめいて
胸をかばうように手を当てて
私は路の傍らに逃げ込んで静かに目を塞いでいた
譜奏151