どこかの国の内戦で亡くなった少女に
追悼の絵を描いたのは難病の少女だった
その少女は全身が動かせず瞬きと口で絵を描いたという
夏の最後の向日葵をもらう機会があって
私は大きめの花瓶を取り出して部屋に飾っていた
人に現われる不幸の形は多彩で幸福は形無く限定されている
向日葵の大ぶりの葉を見ながら私はそんなことを頭に浮かべて
名も知らぬ二人の少女の顔を想像していた
慈しむ
この得体の知れない感情に根は不要なのかもしれない
もうすぐ開き切りそうな黄の葉が
自身とのせめぎ合いに疲れているだけの私を叱ってくれるように
一葉を床に落とす幻を今にも演じそうで
私は鼓動の合間のように泣くばかりだった
譜奏152