2017年12月11日

どこかの国の内戦で亡くなった少女に

追悼の絵を描いたのは難病の少女だった

その少女は全身が動かせず瞬きと口で絵を描いたという

夏の最後の向日葵をもらう機会があって

私は大きめの花瓶を取り出して部屋に飾っていた

人に現われる不幸の形は多彩で幸福は形無く限定されている

向日葵の大ぶりの葉を見ながら私はそんなことを頭に浮かべて

名も知らぬ二人の少女の顔を想像していた

慈しむ

この得体の知れない感情に根は不要なのかもしれない

もうすぐ開き切りそうな黄の葉が

自身とのせめぎ合いに疲れているだけの私を叱ってくれるように

一葉を床に落とす幻を今にも演じそうで

私は鼓動の合間のように泣くばかりだった

 

譜奏152