2017年11月13日

宙から空に落ちていくように

見知らぬ街の遠くから聞こえたカリヨンの音が

風追う旅人の背を反響板のように響かせた夜

私の胸に迷い落ちてきた単音が弾くように私を

その夜そのものを

共鳴の一体にして私の身体に消えていった

私は反射的に魂を屈めて身構える

どんな運命であれ運命など

初見はいつも異物でしかないのだから

夢に引かれるように共鳴は眠りに向かっていく

いつしか櫛歯のようになった私と単音が意識し合うその場所まで

ただ平安に

そして奏でられるようなカリヨンの弾かれた一音を

私は空を破れない風のように聴いていたのだ

 

譜奏140