人は概ね死を語ることを避ける
どんな理由を言ってもそれは死を怖れているからだ
死の恐怖に侵されて生きるのは愚かには違いない
叶うなら人は概ね永遠に生きたいのだから
潮騒の遊ぶ砂浜を
薄い白のワンピースを着て歩いていたら
貝殻で足を傷つけて
私は膝を立てて砂に腰を下ろした
陽射しはカモメが連れ去り空は鈍色に近づいている
私は横たわり波音を並列に聞きながら
こうしていればいつか波が私を拐っていくだろうと思っていた
それが死が欠けることでも満ちることでも
ただ眠るように
たとえ今が夢でも現でも
譜奏107