2017年7月28日

どこかの森の中に迷い込んだように

私は髪を括り上げ

葉音を揺らす風のように

舞台の袖から歩き出していた

私は彷徨っている

この僅かな歩幅を繰り返す毎に

私はその自覚を確認する

真っ直ぐ歩くのに辿れない

辿れないのに

同じ音しか続かない

円のようなこの森を私は歩く

巡礼者とすれ違うように

心に透明なニカブを

被うように

 

譜奏94