生きる時間の中で
自分の持つ希いや欲望の
本音や本心を口にすることは
稀な出来事と言っていい
ならば
巷に溢れる夥しい言葉のほとんどは
そのエリアの外に属しているということになるのだろうか
宵の雑踏をガラス越しに見ながら
私はとりとめもなくそんなことを考えていた
信頼という言葉が
苛立たせる虫のように私の胸を落ち着かないものにする
人類が培ってきた遺伝子の中に
信じるという前提を必要としたウィルスを投げ込んだのは
やはり尊大なだけの神の不信体質のような気がする
譜奏95