2017年6月16日

春風の悪戯か

大気に漂う死種の気配に顔を背けて

私は以前は異物としか感じなかった私自身の中の

平安という認識の揺れに心を苛つかせていた

訳も兆しもなくただ疑ったのだ

何よりも私は時の退廃を避け

その退屈を嫌ってきた

退廃は退屈を食べそして

蠢くようにその細胞を増殖していく ウィルスそのものなのだからと

しかし私は平安を退廃と結び付けた経過を覚えてはいなかった

苛立ちは一つの結論はまたその経過でしかないという恐れからきているのかも知れない

天声の如く下りてくる人生の示唆を鵜呑みにはできないと

示唆そのものが退廃の中で育つ

ウィルスであるのかも知れないと

私は感じていた

 

譜奏76