2017年6月19日

不良少女がいた

中学生の時から家出して

盛り場の海に溺れているような女の子だった

私とは同じ学校だったが話したことはなかった

しかしその特徴的な顔は私の記憶に刻まれていた

一言で言えば

あまりに淋しそうな姿をしていたからだ

十数年が過ぎた平日の午後

故郷から離れた都会で彼女と出くわした

彼女は小さな子供を連れて

子供は赤い靴をはいて黄色の風船を持っていた

私は涙が溢れたまま泣いていた

膝を下げて微笑む彼女の横顔が

あまりに美しかったから

 

譜奏77