不良少女がいた
中学生の時から家出して
盛り場の海に溺れているような女の子だった
私とは同じ学校だったが話したことはなかった
しかしその特徴的な顔は私の記憶に刻まれていた
一言で言えば
あまりに淋しそうな姿をしていたからだ
十数年が過ぎた平日の午後
故郷から離れた都会で彼女と出くわした
彼女は小さな子供を連れて
子供は赤い靴をはいて黄色の風船を持っていた
私は涙が溢れたまま泣いていた
膝を下げて微笑む彼女の横顔が
あまりに美しかったから
譜奏77
不良少女がいた
中学生の時から家出して
盛り場の海に溺れているような女の子だった
私とは同じ学校だったが話したことはなかった
しかしその特徴的な顔は私の記憶に刻まれていた
一言で言えば
あまりに淋しそうな姿をしていたからだ
十数年が過ぎた平日の午後
故郷から離れた都会で彼女と出くわした
彼女は小さな子供を連れて
子供は赤い靴をはいて黄色の風船を持っていた
私は涙が溢れたまま泣いていた
膝を下げて微笑む彼女の横顔が
あまりに美しかったから
譜奏77