2020年2月5日

星の下で守られて生きていると思っていた頃に

私の名を呼んでいてくれた母の声がどんな声だったのか

思い出せない2月の夜明けの雨

いつか私の声もこんな雨音に忘れられていくのだろうと思ったら

何故かすーっと涙がこぼれ落ちました

過ぎ去るものを慈しんで見送ってきた私の人生は

私自身が主体から過ぎ去ってきたものだったのかも知れない

そんな想いが胸にコトンと固形物のように落ちた気がしていたのです

風を異形にする力が魔力なのだとしたら

私はその魔の力で舟の形を指で書いて乗り人となり

どこからか聞こえ続けてくる何かの音に向かって漕ぎ出したい

差し出すものは何も無いけれどと前置きして

見合うかどうかはあなた次第ですが良ければこの肉体を

このまま川辺に置き去りにしますからと答えて

 

譜奏490