2019年9月6日

天使と悪魔の間に果物が置かれていたら

その誘惑に手を伸ばすのは当然のことのように思えるのにと

私はそこまで立ち入ってきた寓話の性悪さを嫌っていた

偏った示唆は何かしらの私欲の意図が産んだものだ

ただ人びとへの扇情に長けていたに過ぎない

月よ星よ宙よと私は声にする

あなたもその片棒を担いでいる手先なのかと思ったら

やはり切なさだけが私の胸に一色になって広がっていった

対面に罪だけが配置されていることを空しく思いながら

祈りの形を忘れた手を見ているうちに

私はいつしか眠ってしまったのだろう

夢の中を無数の文字のように見える雪が

始まったばかりのように永遠に終わらないように

戯けながら私をみつめ返して嗤っているように見えていた

 

譜奏425