2019年8月19日

時という生物は

最小の原子のその固有振動数によって

今のこの一瞬を正確に刻んでいると解明されているらしい

しかしそう説明されても私には何の実感も湧かないけれど

むしろ無機質に思えるその川が引き起こす無限の生命の息吹きは

私には一種の魔景にしか映っていない

時が全てを癒してくれると言い聞かされて

それを鵜呑みにしてきた根拠は誰もが探せていないだろうと思う

影さえ持たない幻なのだからと

今は私はそう考えるしかない

だから探りを入れるフィクションと悟られても

気分が悪くなるほどの劇的な不幸のプロットを立てて

綿密に計画した完全なプランを悪魔と売買しても

私はある種の幻覚を手に入れたいと思うようになってしまっている

 

譜奏417