抽象画のような糸口のない孤独を隠して
私は単色になった朝のドアを開ける
出生の分からない概念を立体写真のように疎ましく
すぐにも破り捨てたいと思いながら
そうしてできる陥没したような空洞をより怖れて
怖れる自分をさらに疎ましく嫌悪して
誰かが言った
人生は回り回るメリーゴーランドだと
いかにもムリのある比喩と感じながら
私が考えることにブレーキをかけて
最後にはその比喩に緩和されることを受け入れていたのは
習慣的な単なる心の癖なのではと思った
堆積を潰して怖れの空洞を真新しいキャンバスと気づけば
ただそれだけで私の絵は自由に描がかれていたのだから
譜奏286