過去から今に線を繋いで未来を警戒して
誰しもが自分を知りたいと希うことを
私は好意的な気持ちを持って同調してきた
私の好奇心の根の触角もずっとそこに向いていたから
その願望は疑いようがない位置にいて
考える余地の凹凸さえ感じることができなかった
何度か思い返してもその率直な実感しか残っていない
しかし自分が呼吸していることが動物のようだと腑に落ちて
今私が考え行動していることのすべてが
知りたい自分から逆線を引いた答なのではないかと思ったら
明らかに私の見当識が動揺して投射影のように
あっさりと実体を放棄していく信号波を出し始めていったのだ
何かの童話に似ていると思った
私はそのお話しの鳥籠にいた名もない鳥だったのだと思った
譜奏282