水に棲むピアスの輝きが消えていくように
ビルの夜灯を写していたガラス窓に雨が落ちて
夜に塞がれた時間が黒い煤のように
私を息苦しくさせる時
私が天使のように振る舞えば
その反動の力で悪魔の欲望が深くなり
深くなった欲望は何かを実行したい衝動に苦しむと
天使はしたり顔で囁いてくる
では私は悪魔を振る舞えばいいということなのだろうか
そういう話になる
人はいつも自分の心とせめぎ合いながら生きていく
その暗がりに胞子を落としたような
天使という悪魔という仮装言葉が
私には壊れにくい玩具言葉にしか思えない
譜奏283