2018年9月21日

その雑踏の不揃いの音に紛れようと歩いていた時

その音律の共鳴域に合ってしまったように

心に置いていた傷が痛み出して息苦しくなって

私は迷うように何度か背後を振り返った

いつでも完全には消え切らないこの気配のようなものは

私がいつか何かの奇跡を起こすことを待っている

いつからか私はそんなふうに思うようになっていた

何のデッサンもなく根もなく

会う人も行く場所も思いつかない私なのに

しかし私の胸に落ちてきたあの日の星は

一日を明確に区切って私に意識を忘れさせない

きっと一瞬にして何かを変えてしまうつもりだと

私は痛みの根を感じながらニヤリとして

身をかわすように雑踏から離れていった

 

譜奏275