午前0時の1秒前にアラームをセットして
明日を守るように夜空を見上げたのは
一目で魔法にかかる星が現れると信じていたから
死んだ星屑の悲しみの灰からは不死鳥が甦って
その光の粒がまた星になると信じて疑わなかったから
私を守れない今日が沈んで夜が落ちて
カリガラスに彫られた蔦模様の角線が
白紫の宝石のように輝いて曲がり線に引かれた後
会う人も行き先も思いつかない私は
指を丸めて空にかざしたつもりの白質の深層で
私より確かなわたしが私をみつめている視線を
知らない人のように見流して
雑然としているということが救いのような雑踏へと
ただ歩き出そうとしていた
譜奏274