2018年8月1日

もうすぐ閉店時間になる人もまばらなカフェ

すっかり冷めたモカの残りを飲んで立ち上がろうとする時

ツンと

鼻から額にかけていつもの匂いがして

私はいつもそこにいる知り合いに会ったように

苦笑いのように会釈する

匂いの主は若くて未熟だった私の衝動だ

親しくもならず記憶にもならず金属臭のようになって

主はこの条件の環境の時にだけ現れてくる

すごく長く過ぎた時間の何処かに

私はきっとうち捨てるように埋めたのだろうと思う

邪魔にしかならないその衝動の損傷のようなものを

しかし今はその不安さえやさしく私を包む

またここにやって来る私を知る待ち人のように

 

譜奏253