白のロウソクが私は怖くて苦手だった
初めて見たのが停電になった私の誕生日の日というのも
さらに不気味に思えて嫌いになった理由かもしれない
その灯の中
父だったか母だったかいそいそと笑顔いっぱいで
私の前にホワイトケーキをドンと置いて
そして黄色の小さなキャンドルと
赤、緑、青、白の5本をケーキに刺して
姉と三人で私にハッピーバースデーを歌ってくれた
太いケモノのように見えるロウソクと同じように
鈴の音のように踊るキャンドルが私にはただ不思議だった
大人になって初めての訃報の中で私は
ロウソクは悪魔から身を守るために作られたと知って
無邪気だった家族を胸に目を閉じ唇を歪めた
譜奏240