2018年6月6日

行ったはずのないサーカスの

喝采のざわめきの波に

私は一人取り残されて立ち竦んでいる自分を

現実に渇いていく身体のように

身近な実感として感じ始めていた

カクテルゼリーがばら撒かれたような

玩具のようなフィルムが

私の脳裏にぶつかって転んでいく

また寂しそうなピエロ

あなたは夜明けじゃなかったの?

そう思って私は初めて気がついた

話す相手がいないのだ彼は

だから

耳も聞こえていないのだと

 

譜奏229