雨にうたれた植物の油分が空中に放たれて
森の中のように芳香していた夜
私は裸足のままベランダに出て
何かの過ちを正すように
建物に遮られた行きどまりの月を見ていた
緩んで活気を失った血を排泄していくように
青く澄みきった冷気が私の身体に入れ替わっていく
その尖った音のような感覚が
私の舌の根のあたりに痛みを与える時
私は安堵して
獣のような深い気を吐き出して
しゃがんだ手で膝を抱えてまた夜を見上げる
ペトリコールに包まれて永遠に
その水面に映る姿をレイアウトするように
譜奏178