誤魔化そうとした表情が心の答えを表して
胸の背に淋しさをかすめる時
私は正直に生きた父と母を誇りに思う想いが
自分の心の底に落ちていこうとしている淋しさを
ただみつめているだけの自分を恥じていた
その底の記憶に流れるオルゴールのような音
いつからか聴こえなくなっていた魔法の音色
得体の知れない時の何かがそれを奪い合っていったのだろうか
私が選んだ人生
しかし私がすべてを選んだ訳じゃない
決められた地に引かれるように行くのなら
そしてやがて虹を見上げることになるのならもう少し
もっと淡い色がよかったと
私は小さな心の隅でそう思っていた
譜奏172