2018年1月12日

人には様々な苦しみがある

感情を封じて描かれた雑誌のイラストの細い息のような線を

私は寂しい気持ちで何度か目になぞっていた

その時にふと思った

幸福や満足していそうな表情には

残るものがないのに

何故寂しいものにはテイストのようなものがあるのだろうと

哀しみも同じだ

この線は私にそういう感性みたいなものを伝えている

それらはどれも非建設的で

最後には苦しみにしか行き着かないというのに

善を行なえど罪無き者はなしという聖句が頭をよぎる

生きるということは満たされることを目的にしてはいないのか

そう思えば見事なほどに辻褄が合ってしまう気がして

私は駅のゴミ籠にゴミのように雑誌を投げ捨てた

 

譜奏167