時間が確かに過ぎていったことを
証しし得る者はいない
記憶の堆積と数字の化身とただ彷徨うだけの感情
そしてそのすべての残骸
人は辿ったことを表わす力を持たない生物なのだ
閉じようとした祈りの息が落ちるはずのこの手に
空間が曖昧な歪みを見せた後
私は同じ波長を探すようにつぶやく
私は私の命が尽きたら
砂浜に一重に消える波になりたいと思っていたと
そしてやがて夜を見上げる潮汐に重なって
背を向けた月から遠ざかっていこうと
私は悪意のように
希っていたのだと
譜奏163