何かに迷いながら雨の降る日がくると
誰かが後ろから手を被せるように
私の耳鳴りが始まる
静止画面に止められても
時間が止まる訳でもないのにと
私の中の傍観者が諭すように誰かに話しかける
その敵意のない声さえ
私には聞き取りにくいものになっている
心に完全受容するHzがあるのなら
私は立ち止まらない確かなリズムを踏み出して
或いは能動的に駆け出していくのかも知れない
その能動がフィルムの一コマでしかないと
どこかで感じていたとしても
その道が獣さえ行かぬ迷い道だと気づいていても
譜奏162