いつか見た青割れの黄昏れが注ぐように教えてくれたように
私は無邪気に遊ぶ子供たちに
やさしく微笑む人でいたかっただけだった
置き去りにする理由などなかった
雑踏を避けた裏通りの静寂で
すれ違いざまに聖書を這う虫のように動いたら
文字が罪のような韻律音を出して苦しむから
私は静寂を怖れるようになったのに
その後誘惑は二度と私の前に現れなかった
何故あんな衝動が起きたのだろうと思ったこともあった
しかし私は本当は知っていた
癪に触ったのだ
私の悲しみを作業のように刻んでいるその音の主の
やさしいだけの平和な笑顔が
譜奏164