2020年1月13日

冷めたコーヒーにミルクを落とした時

私は久しぶりに時間の観念を持たずに過ごせた時間に感謝していた

ミルクはブロッコリーが早送りで成長していくように見えたり

何かが爆発して炎が広がっていくようにも見えたりした

思えばこの世に形の無い物という物がない

それらは例外なくやがては形を無くしていくというのに

私は小さな頃からそのことに淡い切なさを感じていたように思う

私にとっては言葉も感情も人の死も一つの形のように思えていたから

寒さを感じてそろそろ席を立ってカフェを出ようと思った時

ひょっとしたら私は今自分の夢の中にいるのではという疑いを持った

そしてそれならそれでどちらでも良いとも思っていたのに

私は座り直して祈るように背を丸めて何かにつぶやく素振りをした

幾何学模様の幻覚が私の視界を支配する中で私は思っていたのだ

どうせなら私は鋭角な星型になって叶うのなら光っていれば良いのにと

 

譜奏480