家を出たネコが雨に濡れて
小さく振り向く
あの日の私を知っているように
張りもなく胸が渇く夜を
鏡に映して
身体を丸めて
気まぐれにオモチャを抱くように
吐息が静かに落ちていく
投げ出した指の先に何もないの
愛だけがわからないの
私には
水に溶けて哀しそうに滲んだ
一夜だけの自画像
忘れられた習作画
譜奏348
家を出たネコが雨に濡れて
小さく振り向く
あの日の私を知っているように
張りもなく胸が渇く夜を
鏡に映して
身体を丸めて
気まぐれにオモチャを抱くように
吐息が静かに落ちていく
投げ出した指の先に何もないの
愛だけがわからないの
私には
水に溶けて哀しそうに滲んだ
一夜だけの自画像
忘れられた習作画
譜奏348
手を繋ぐ力
離して確かめて
夢の欠片を抱いて眠るように
過ぎていった日々
そうねあの頃は
若くて
ただひたむきで
でも私
きっとわかってた
怖くてただ言えないだけで
変わらないものを
枯れていくことで教える
花のように
愛だけを恐れていたことを
譜奏347
どんなに悲しい時でも
いつでも笑っていたの
風が過ぎていく音を
ずっと背中でみつめていたの
スクリーンに青い雨
運命のように
打ちつけるけど
私だけは傷つかないで
笑顔だけで
人を愛せるはずと思ったの
真実じゃなく
偽りじゃなく
天使のように
CINEMAのように
譜奏346
心だけ届かないの
夜は暗いだけでしょ
驚いた鏡の色
割れて泣いた波のよう
過ぎてゆくものは
移ろふと
知っているから
明日の朝海を見るの
風に奪われるように
いつか
私の罪にしなやかに
流れるのなら
最後の言葉は
je l’ aimeとだけ言って
譜奏345