2019年11月11日

貧しい生い立ちではなかった

両親も私を普通に愛して育ててくれた

それなりに勉強をしてそれなりの青春を過ごした

しかし私はふと自分が他の誰とも違う人間であることに気がついた

私にはいつしか犯罪への愛が芽生えていたのだ

日々その魅力に引き込まれていく自分が怖くて

私は泥を吐き出すように自分自身が惹かれるディテールを

自分の人生のように現実のように小説として書いたのだ

皮肉にもそのネット小説で今私は時間を切り売りしないで済んでいる

歪んでいるという素朴な実感だけが私を虚ろにさせているというのに

でも私は分かってもいる

私にとって家族は真実の愛ってほどじゃないということを

解決したようにそう思えてしまったら

涙が過ぎてきた時間のように止まらなくなってしまうということを

 

譜奏452